簡単!わかる!商標制度

最近世間をにぎわせている「商標」。その言葉は聞いたことがあるけれど、 登録することにどんな意味があるのだろう?と疑問に思いませんか。今回は 「商標とはなんなのか?」,「商標登録をするとどんなメリットがあるのか?」というポイントを、会話形式でわかりやすく説明します。

とある温泉旅館協同組合

温泉組合組合長
ん・・。もっとうちの温泉を
活性化させるようないい企画はないかね?
温泉
そうですね、統一したロゴを作って、オリジナル商品出すとか、全国の人にまずうちの温泉をもっと知ってもらえるような企画を考えた方が 良いと思います!「ゆるキャラ」等を考えるのも良いと思います。
組合員
温泉組合組合長
なるほどなぁ。じゃあ、早速オリジナルのロゴを考えるか。いくつか案を作って再来週までに組合長まで提案してくれ!

▼数週間後

温泉組合組合長
では、前回募集したロゴの話だが、とてもよいロゴがあり、みんなも もう知っている通り既に決定している。そこで、商品についてなど、 具体的に決めていきたいと思う。
ちょっと待ってください。最近商標権侵害等のニュースを良く聞き ますので、ロゴを作るなら、真似されないようにその辺りのことを ちゃんとした方がいいんじゃないでしょうか?
組合員
温泉組合組合長
商標・・・かぁ。聞いたことはあるが、詳しくは知らないな。
調べてきました。
組合員

解説商標ってなに?

事業者が自己の取り扱う商品・役務(サービス)を他人の商品・役務と区別するために、その商品・役務(サービス)を他人の商品・役務について使用するマーク(標識)をいいます。
商標の種類
文字商標:文字のみからなる商標 例) 「SONY」「SUNTORY」

図形商標:図形を含む商標、図案化された文字商標 例)ヤマト運輸NTT

記号商標:暖簾記号、文字を図案化し組み合わせた記号、記号的な紋章 例)タケダ

立体商標:立体的形状からなる商標。例)不二家

結合商標:異なる意味合いを持つ文字と記号を組み合わせた商標や、文字、図形、記号、立体的形状の2つ以上を組み合わせた商標。 例)花王

商標出願の方法(通常の出願以外)
団体商標登録出願:事業者を構成員に有する団体が、その構成員に使用をさせる商標を登録するための出願
地域団体商標出願:地域名と商品〈サービス)名を組み合わせた商標を登録するための出願 
防護標章登録出願:著名な登録商標について、類似しない商品・役務でも同一商標の使用を禁止することができる商標を登録するための出願

温泉組合組合長
ふむ、商標については分かってきたが、登録されると具体的にどんなメリットがある?

商標を取得するメリットってなに?

次の3つのメリットがあります。
1.独占的な使用が可能
指定した商品・サービスについて、その商標を独占的に使用することができ、他人によるその商標の使用を禁止することができます。
2.類似範囲における使用の禁止
完全に同じ商標の使用のみならず、似た範囲における商標についても他人の使用を禁止することができます。
3.差止・損害賠償などの請求
第三者が無断使用すれば商標権の侵害となり、その第三者に対して商標使用の差止・損害賠償などを請求できます。

商標登録をしないデメリット
商標登録をしていないと、他人があなたの商標を使って商品を勝手に製造販売していても、相手が商標権をとっていれば、最悪あなたが商標を使えなくなることも・・・。

温泉組合組合長
ほぉ〜。なるほどなぁ。これだけの権利があると安心だな。
せっかく考えたロゴが使えなくなっては困るからな。
では、さっき調べてくれた「地域団体商標」っていう 出願方法について教えてくれ。たしか商標に地域名を入れる時 の出願方法だったな。
はい。それには、だれでも出願できるわけではなく、条件があります。
組合員
温泉組合組合長
そうか。普通の出願とは違うみたいだな。

解説地域団体商標として商標登録が認められる要件

地域団体商標として商標登録が認められる要件
①出願人が法人格を有する事業協同組合その他特別の法律により設立された組合であり、その特別の法律において構成員たる資格を有する者の加入を不当に制限してはならない旨が定められていること。
(例えば、各事業協同組合、農業協同組合、水産業協同組合など)
②団体の構成員に使用させる商標であること。
③地域の名称および商品の役務の名称のみからなる文字商標であること。
④商標中の地域の名称が商品・役務と密接な関連性を有していること。
⑤商標が一定程度の周知性を獲得していること。
(例えば隣接都道府県に及ぶ程度の需要者に認識されていること)
⑥商品全体として、商品・役務の普通名称ではないこと。

地域団体商標の登録例
「松坂牛」、「関あじ」、「宇治茶」、「博多人形」、「紀州備長炭」、「黒川温泉」など、平成23年2月28日現在で468件の地域団体商標が登録になっています。

「地域の名称」には、現在の行政区画単位の地名ばかりではなく、旧地名、旧国名、河川名、山岳名、海域名等も含まれます。
「商品(役務)の慣用名称」の例
① 商品「絹織物」「帯」について、「織」「紬」の名称
② 商品「茶碗」「湯飲み」について、「焼」の名称
③ 商品「豚肉」について「豚」の名称
④ 役務「入浴施設の提供」「宿泊施設の提供」について、「温泉」の名称等

温泉組合組合長
よし!条件は分かった。この条件を満たすようにしてやってみるか!
だが、そもそも出願って、何をするんだね?
・・・・はい、それも調べました!
組合員

解説自分でできる商標出願

1.商標調査:まず、出願しようとする商標と同一又は類似する商標が、同一又は類似の商品・役務について、既に登録又は出願されていないかを調べます。
さらに、他人の出願・登録がなくても登録を受けることができるとは限りませんので、どういう商標が登録を受けられないかについても調べる必要があります。
登録又は出願されているかどうかは特許庁の電子図書館(IPDL)で調べることができます。
2.出願:調査が終わったら、いよいよ出願です。
願書の作成要領は、特許庁HPに掲載されています。願書に必要事項を記載し、特許印紙を貼付し、郵送します。
3.出願後の流れ:出願後の流れについては、コチラ
通常、登録結果が出るまでに、6〜8ヶ月かかります。拒絶理由通知が届いた場合には、その内容に従って対応します。

自分で出願した場合のメリット・デメリット
メ リ ッ ト
費用が最小限に抑えられる。

デメリット
まず、商標法についての知識が必要なので、登録を受けられる商標・受けられない商標など、調査に当たっての勉強が必要です。それからやっと調査開始となります。
調査も的を得たものでなけば出願が無駄になってしまいます。
また、願書は、過不足なく正確に書かなければなりません。
さらに、出願後、そのまま登録になればよいのですか、拒絶理由通知が届いた場合などの、出願後の対応もしなければなりません。
権利の更新なども、特許庁から連絡が来るわけではないので数年、数十年後の期日管理も必要です。
個人でここまでの対応をすることは大変手間と時間を要します。

温泉組合組合長
なるほどな。出願は慎重な調査をしてからでなければいけないのか・・。そういえば地域団体商標にはどんなものがあったかな?おおきな問題になったような所はあるのか?

有名ラーメンブランドの商標登録騒動

 喜多方ラーメンといえば、日本3大ラーメンの一つにも数えられる有名なラーメンだ。福島県喜多方市を中心としたこのラーメンは、「支那そば」の元祖としても知られており、老若男女幅広い世代に人気である。
 豚骨ベースと煮干しベースを別々に作り、それをブレンドしたスープは、醤油味がベース。麺は太めの平打ち縮れ麺を使用するのが基本。今、この喜多方ラーメンの商標登録を巡り、小さな町が揺れている。
 福島県喜多方市のラーメン店40店余りが加入する協同組合「蔵のまち喜多方老麺(らーめん)会」が、「喜多方ラーメン」の地域団体商標登録を認めるよう求めた訴訟の上告審が1月31日に行われた。最高裁第3小法廷は、組合側の上告を退ける決定を下し、登録を認めなかった知財高裁判決が確定することとなった。
 喜多方ラーメンは、地域ブランド確立のために老麺会において地域団体商標制度での商標登録を目指していた。しかし、2009年11月、特許庁は商標登録を認めないとの審決を下す。これを受けて老麺会は審決取消しを求めた行政訴訟を提起したが、2010年には特許庁審決を妥当であると判断、取消請求を棄却する判決が出された。
 そもそも地域団体商標登録とは何なのか。地域ブランドを育成するために2006年に創設された制度だ。ラーメンに限ると今までに「和歌山ラーメン」や「米沢らーめん」が認められている。
 知財高裁が棄却した理由としては、喜多方市内のラーメン店の組合「蔵のまち喜多方老麺会」への加入率が低いこと、市外でも「喜多方ラーメン」という呼称が普及している点を考慮したとのこと。
 消費者らが「喜多方ラーメン=老麺会加入店のラーメン」とは認識していないと結論づけている。                                       (日刊テラフォー)

温泉組合組合長
う〜ん、そうか・・・。いろいろ難しそうだな。出願の前に、いま考えているロゴが出願しても通るのか、難しいのか、その辺りが 知りたいな。それには念入りな調査がいるなぁ。しかし、企画自体の内容も詳しく検討しなければならないうえに、みんな通常の仕事もある・・。
誰か専門家に頼めないのか?法律事務所になら知り合いがいるぞ、聞いてみるか。
いえ、それも調べました。商標などの法律の専門家は弁理士です。弁護士には、知的財産の分野に精通して入る人が少なく、通常は、弁理士のいる商標事務所に依頼するみたいです。ただ、たくさんありますので、決めるに当たってのポイントを調べておきました。
組合員

解説商標事務所選びのポイント

※ここでは、商標事務所という表現をしていますが、「特許事務所」「国際特許事務所」「弁理士事務所」など、事務所によって表現は異なります。

1.あなたのニーズを理解し、そのニーズに応えてくれる事務所か。
・あなたが何を望んでいるか、親身になって話を聞いてくれる。
・その案件を出願すべきか否か、微妙な場合はどういう手だてをとるべきかなど見通しをはっきり、わかりやすく説明してくれる。
・弁理士が直接対応。
・対応が丁寧でレスポンスが速い。

2.料金は適正か。
・HPなどで紹介されている料金。本当にその費用なのでしょうか?一見安そうに見えてもトータルの費用は結局高かったりすることも。明確な料金を提示している、もしくは確認できる事務所を選びましょう。
・返金保証や、〜無料といった言葉の「詳細」や「条件」をしっかり確認しましょう。その辺りについて確認できない事務所は避けま しょう。

温泉組合組合長
よし、じゃぁ、商標のことは、プロに任せるか!
はい、そして地域ブランドで温泉を盛り上げて行きましょう!
組合員
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